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デザインの解剖C=明治乳業・おいしい牛乳



デザインの解剖C=明治乳業・おいしい牛乳
佐藤卓
(美術出版社・2003)











 どうだかなあ。このシリーズ『普段何気なく目にしている身の回りの大量生産品をひとつ取り上げて、デザインの視点で着目し、どのような工夫がなされているのか分解して探ってみるというもの』らしいんだが、そのデザイン視点からの「解剖」が中途半端で後味が悪く、読んでもちっとも要領を得た気にならない。

 明治おいしい牛乳のパッケージデザインでは、シズル感を出すためにコップに牛乳を注ぐ写真4枚を合成したものを使用したとか、青か赤かで迷ったが、アンケート結果から「牛乳らしい」とされた青に決定したとか書いてあるんだが、隣のページにある写真は白黒なんだよ。白黒じゃちっともシズル感がねえし、赤くしたデザインと隣合わせにでもしないと「おお!やっぱり青がいいじゃねえか」って納得できない。カラーのページがあるからそっち見ろ、モノホンの牛乳買ってきてそれを見ろ、そういうことかもしらんが、そうじゃねえだろう。そこを納得させてナンボってブツだろう、この手の本は。

 修学旅行のしおりのように紙を二重にしてある特殊なブックデザインだから、外見の厚さに比してページ数は半分。値段(¥1800)の割にカラーページも少ない。ビニールで巻いてあって開封するまで中がどうなってるのか購買者には全くわからず、外見から判断したら思いっきり肩すかし。挙句の果てには誤植と訂正用紙のおまけつき。とにかくオレはこんなデザインの本を認めねえ。

 不親切に作ることがデザインなのか?親切デザインを目指したけど失敗したのか?一体デザインって何なんだよ。この本を読んでもそこがちっともわからんかった。




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