『ハウ・ザ・ウエスト・ワズ・ウォン』
レッドツェッペリン
ワーナーミュージックジャパン - ASIN: B000094JA6

\4410
(2003/06/13)




 ライブ全盛期の一つ、72年西米のツアー音源を中心にしたライブ盤。当時のセットにかなり近い選曲、曲順で、擬似的にライブを楽しめます。同時期に発売されたDVDとは全く内容が違うので注意。

 とにかく、ボンゾ(ジョン・ボーナム)のドラムがすごい!これだけでメシが何杯でも食えるって感じ。「ブラックドッグ」とか「天国への階段」なんてゼップの超有名曲だが、ライブで鍛え上げられるとこうなるのか!と感慨も一入。いやあ、ちょっと冷静に語れませんよ、この作品は。

 とにかく、史上最高のライブバンドの名を欲しいままにしてきたゼップですが、意外なことに、公式ライブ盤としては以前のBBCセッションくらいしか出てなかったので、とにかくこの時期の音源がこの音質で聞けるってことに、21世紀に生きててよかったあと思いました。ロックファンの溜飲がさがるナイス・リリースだと思います。

 一般に「ハードロック」という言葉で語られがちなツェッペリンですが、今あらためて聴いても、単なるハードロックってわけじゃなくて、あたりまえだけど、ワールドミュージック的要素、ファンク要素が、お勉強して作ったそれじゃなくて、自然に身体化されたグルーヴにのって出すことができるバンドだということに気付きます。ここに、このバンドの他では得難い魅力があります。ジョンジーのベースプレイも抜群だしなあ。彼の音楽性の幅がゼップの多面的魅力に貢献しているのは、当たり前だけど見逃せません。

 山はディスク2の最初の25分以上にも及ぶ「幻惑されて」の、ペイジのダルい弓弾きギターが終わったところあたりからと、ディスク3の「ホールロッタラブ」でのメドレー! 今から聴くと、しかも映像なしでただ聴くと、正直ペイジのソロでダルさを感じるのを禁じえないんですが、そんでこの作品で不満なところはそこくらいなんですが、それもその後に続く、ファンキーなジャムによって、帳消し。ってか、イライラしたところに、それがドカーン!ってくるわけだから、気持ちよさも格別ですよ。

 あと、ブルース曲とか有名なロックの曲をメドレーで中間部にはさむ後者も、ゼップの遊び心とフレキシビリティが出てて、好きだなあ。で、散々遊びまくった末に、あの世界一有名なリフに戻ってくるんだから。これはスタジオ作では味わえないですよ。で、その勢いで名曲「ロックンロール」に流れ込むと。最高!!

 輸入盤でも中古でもなんでもかまわないので、ロックが好きな人、ゼップが好きな人は迷わず買うように。

(2003/07/02)



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