もうペンネームで勝ち!って感じなんだが、本名・池松江美のマンガ単行本第三弾。あの吉本ばななも絶賛という帯文句が『ニガヨモギ』ってなめ子の単行本についていたんだが、一体なぜ吉本ばななはあんなにでしゃばりでふざけたヤツなのであろうか。あいつは、自分は「笑いがわかる」みたいな顔をするのが大変得意で、帯文句には『5分間、私の事務所を笑いの地獄にたたきおとした実力はすごい』とかなんとか書いてあり、それを見てまず最初に思ったのは「おめえ何様のつもりだよ!あぁ〜ん!?」。ミルクチャンを自分の単行本の表紙に使ったり、リュウメイもそうだが、全くもって意味がわからない。サンキューズの名曲『火事にあった少女』を聴いて、しばし冷静さを取り戻すべし。ばななはどっちかってえと笑われる対象だろう。ネタにされる方だろう!ばななになめ子。ちょっとできすぎじゃねえのか。アァ!? 閑話休題。というわけで、ばななに購買意欲を下げられはしたのだが、そのペンネームを信頼し、彼女の最新刊であるというこの『道徳の時間』を購入。で、肝心な内容なわけだが、これはちょっと判断不能。いや、もっと思い切って言うとこの本はあんまりおもしろくなかった。 うーん、とりあえずこれがこの人の全作品に共通することなのかわからないのだけど、まず下ネタが多すぎる。っていうか全編ほとんどこれ下ネタ。まあ、ヤングチャンピオンという半ばエロマンガ雑誌化してる週刊誌に連載していた『あさってのザビエル』は対象読者を考えてそうしたのかもしれないと邪推するが、他の作品もほとんど人間の下を扱ったもので、これが個人的にはいただけない。 この人、文章やマンガのそこかしこから推察するに、かなり知的偏差値、教養の高い人のようであり、それが作品にフワッと出てくる。その感じは好きだ。知的偏差値の高さと持ち前の下ネタをうまく合わせれば、まさにぼく好み。全編に漂う皮肉屋ぶりはかっこいいしなあ。 『ヤワラビッグバン!』など気に入った作品も結構あるだけに、もっともっとぼく好みのマンガ家になってくれと思ってしまう。うーん、やっぱり現時点ではこの人に対してはかなり複雑な評価しかできないです。 ■1つ前のレビュー ■次のレビュー |