『エマス』
シティ・ヌールハリザ
インディペンデントレーベル - ASIN: B0000ZP6GI
¥2415
(2003/03/16)
※輸入版国内仕様・初回のみVCDつき


 マレイシアの歌姫(&アイドル)の最新作。ぼくがこういう歌手モノを買うときは決まってジャケ買いです(笑)。この手の顔ってグッときちゃうんだよなあ(オヤジですみません)。なんてったってシティは現地マレーシアのヒットチャートで1位とかとっちゃうようなアイドル(以前のアルバムの国内仕様の帯文句とか「シティちゃん」呼ばわりですからね)。だけどこのシティちゃん、ただのアイドルではない。っていうかとんでもない歌唱力を持った極上の歌手なのだ。シティの歌手でもありアイドルでもありってスタンスはそれだけで魅力的だ。いや、日本のオリコンチャートの1位とかと比べると泣きたくなりますよ、正味な話。

 実はシティの歌を聴くのはこれがはじめてではない。98年に出た『チンダイ』でぼくは既にシティの歌を聴いていた。が、その時は「歌うまいなあ」と感心はしても作品としてはあんまりピンとこなかったのだ。『チンダイ』はこれが当時18歳の女の子の歌なんてウソだろ!?ってくらい素晴らしい内容だったし、どこにも文句のつけようないものだった。だけど「現代」マレイシア・ポップを聴きたいと思ってCDを購入したぼくとしては、マレイシアの伝統的なスタイルの楽曲を取り上げた『チンダイ』は、狙い外れというか、少しばかり親しみにくかったのも事実。そこだけです。ピンとこなかったという理由は。

 この『エマス』でシティが歌うのは現代ポップス、そのド真ん中の楽曲ばかり。JPOP聴いてる耳でも全然イケるような曲、例えばもろR&B調の曲とかを歌っている。『チンダイ』しか聴いてなかったぼくにはこれが意外だった。歌は言うまでもなく美味い。解説にも書いてあるように「春風のようなさわやかさ」といった趣きである。無理に声を張ったり、高音出したりとかそんなのとは全く無縁。ひたすら曲にご奉仕するため、健気なシティちゃんが余裕ある歌いっぷりを見せる。うーん、気持ちがいい。それに過剰な押し一本の歌ばかりが氾濫する音楽シーンにおいては、この歌声はとにかく新鮮だ。リフレッシュされる。

 7曲目の「真実の愛」って曲が個人的な白眉だ。聴いてるこっちにまで、歌うことの喜び・楽しさがガンガン伝わってきて、ジョイフル気分にしてくれる。ちょっとパワフルに歌ったあと、サラッと流す、その流し方が思いっきりツボにはまった。曲もドリカム好きが好きそうな感じでいいっス。全然違うのかもしんないけど、なぜかアレサ・フランクリンを思い出した。

 初回版のみVCD(映像)付きです。ブックレットの写真とか、ここらへんのノリはアイドルなんだよなあ。

(2003/05/03)



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