『恐怖と壮麗』
ジョン・ハール
ユニバーサルクラシック - ASIN: B0000070QT
¥2548
(1996/08/25)


 『ギルドボール音楽・演劇スクール』なる学校のサキソフォーン科で教鞭をふるっているらしい、ハール教授のアルバム。はっきりいってしまうと、この人のことはあんまり知らなかったりする。ジャケットの一番右に写っているメガネをかけた男がハール教授らしい。しかし、そんなことはどうでもいい。ジャケットの一番左に映ってる男、エルヴィス・コステロにこそ、ポップミュージックファンは注目だ(随分乱暴ですみません)!!

 まず最初に言っておくと、コステロ・ファンにはこのアルバムは買いです。前半の3曲くらいしか彼の歌は聴けないが、それだけとっても全く素晴らしいです。コステロってクラシックの作品にもたまに現れたりするんだけど、クラシックコンプレックスがないのが素敵。彼はこのアルバムではシェイクスピアの詩にメロをつけたものを歌っています。詩は本当にこれがシェイクスピア?て思うような、なんかよくわからんシンプルな詩です。「雨は毎日降るものさ、ヘイホー」みたいな(本当にヘイホーって言うんですよ)。

 で、他の曲についても紹介したいんですが、なんかライナーとか読んでもクラシックさっぱりな私にはよくわかりません(中世音楽風の和音構成が現代の耳には奇妙に響き云々って書いてます)。ただ、聴いた感じクラシックファンにアピールする作品というより、そうじゃない人こそおもしろいと感じるような作品なんじゃないかって感じがします。カウンターテノールが入ってくるところとか、井上薫(chari chari)みたいで結構聴きやすいし(五曲目)、ハールのサックスもノイジーになるところがあったりして、そこらへんも例えばクリムゾン聴いてる人とかにはわかりやすいかな、って思います。パーカッションとかで明確なビートがある曲なんかも多くてそこらへんもロックのノリ楽しめるし。

 そんなこんなでインスト曲がいくつか続いたのち、サラ・レオナルド(ソプラノ)が歌う曲群に突入します。ストリングの入れ方が、なんか非常にクサイ感じのする『本当の恋人をどうやって見分けましょう?』という曲が個人的にはお気に入り。ポップソングのサビみたいなメロを何回も繰り返すとことか、気持ちいいです。歌詞といい、ピアノといい、無理矢理な盛り上げ方が鼻につきそうなものなんですけど、この曲順で聴くと、説得力あるというか非常にグッと来ます。で、最後に私的に一番よくわからん曲で締められて了。

 結局のところ、なんかハールのサックス自体は印象薄いんだよなー。でも、全然それがイヤじゃないっていうかどうでもいいような。



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