『NPO法人設立・申請完全マニュアル』
福島達也(著)
Jリサーチ出版 ISBN: 4901429086
¥1470
(2002/06/20)


 昨日より今日の方が知っていることが多く、今日より明日の方が知っていることが多いような人生がおくれたら幸せだとか思いません? ぼくはそう思います。で、「知っている」っていうためには、何もアタマの中にいつでも情報があってすぐに取り出せるという状態にある必要はないと思うんです。そりゃ、何でも全部覚えていて適宜ポンポン出てくるって方が理想的だけど、現実にはそれは無理。だったら、どこに何の情報があって、それは何を参照すれば得られるのかということを記憶しているって状態こそ、一番効率いい状態なのかもしんない。特に、専門ではない分野、当面その知識を使わない分野に関してはそう。こういう分野に関しては、できるだけ早い情報検索の道筋を持っている、最低限の基本的な事柄を理解しているってだけで勝ちですからね。

 で、この本はその存在を知ってるだけで「勝ち」って感じがする本の典型例だと思うのね。例えば、急にNPO法人を作りたいと思ったとするじゃないですか。でも、法人とかよくわかんないし、ましてやどうやったら作れるのか知らないって人は、その時点で諦めちゃったり敬遠してしまったりする可能性大です。そんな時、この本さえ知っていれば「何を見ればNPO法人の作り方がわかるのか」ってとこまではわかるし、さらに進んでこの本の内容をチラっとでも読んだ人なら「NPO法人は結構簡単に作れるらしい」ということまでわかってしまう。たった少しの労力、情報量、知識リンクのスマートさの差が、行動力の差に思いっきり反映されるってことになりかねないのですよ。

 この本を読んで学ぶべき点はとにかく次の3点。1.原理的には費用タダでNPO法人は作れる。2.法人登記、定款(ていかん)作成などは面倒くさければ設立専門代行センターに頼めばいい。お金がなければ本書の雛型に従えば作れる。3.というわけで、ま、NPO法人を作るとしたら、作って何をするのかってとこが一番大事になる、この3点です。 もちろん、細かいことはたくさん書いてあって、NPO法人を作りたい人の座右の書としていたれりつくせりのサービス情報に溢れているのですが。おそらくこの本を読めば、「めんどくせー」ってのをガマンすれば、NPO一つ作れてしまうんじゃないですかね。

 ところどころ誤解を生みやすい表現なんかも見られるんだけど(例えば、P.11。別に社団・財団法人の区別は公益法人のサブオプションってわけじゃないでしょ?)、読んでいて、持っていて損はない、存在をしっているだけならなおさら損などない本だと思います。



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