白木の森 第1回解説

*チープトリック



(右上から時計回り)リック・ニールセン(ギター)、トム・ピーターソン(ベース)、ロビン・ザンダー(ボーカル、ギター)、バン・E・カルロス(ドラム)の4人組。ロビンやトムの甘いマスク、わかりやすい音楽性がウケて、本国でのブレイクを前に日本の少女たちを中心に爆発的人気をえる。『at 武道館』(78年)をアメリカで発売したところ、これが大ヒット。「BUDOKAN」の名とともに、一躍有名に。その後もヒット曲を連発するが、音楽性の相違からトムが脱退。急速に人気は下降した。その後、トムが復帰。プレスリーのカバー等でヒットを物にし、見事復活した。現在でもオリジナルメンバーで活動中の現役バンド。



*パンク

 70年代後半、イギリスおよびアメリカで盛んだったロック・ムーブメントがパンク。テクがなくても、曲が簡単でもいいじゃないか!ってアティチュードを持ってロックやってたヤツらの音楽を指すのだという認識が一般的だと思う。それまでのロックが技術的にかなり複雑化していたことや、イギリスの失業等の社会問題に対するアンチもあって、若者の支持を集めた。安全ピン、錠前、短髪ツンツン。パンク・ファッションが有名だね。セックス・ピストルズというバンドにシド・ヴィシャス(←写真)という人がいるが、その人がパンクの代表的なアイコンだ。



*グランジ

 グランジは、1.80年代末〜90年代初頭の、2.メインストリームではない、3.パンク/へヴィメタル等を独自に消化した音楽性を持つ、4.アメリカ若手バンド(ここでの「若手」は「若手芸人」って言うときのそれと同じ意味)の総称。
 だらしない長髪、デロデロのTシャツ。もちろんパンツはジーンズ。汚い格好をしていたためgrungeと呼ばれたみたいだ。オルタナティブ・ロックとも呼ばれる。グランジとオルタナを別の物として分ける人もいるが、ぼくは分けない。グランジ/オルタナって並列で書かれることが多いしさ。まあ、強いて区別しろっていうんなら、汚いオルタナがグランジだって言ってやる。どうでもいいじゃないか。
 「○○はグランジじゃねえよ」「いいや、オルタナだ」と言った音楽論をしている兄ちゃんたちを、たまにつぼ八で見かけるが、全く意味がないと思う。ニルヴァーナというバンドのカート・コベインという人がグランジのアイコン。カートは後に猟銃で自分の脳を撃ち自殺。多くの若者が悲しんだ。



*パワーポップ

 パワーポップは、要するに、ロックのソリッドな感覚ととポップスのキャッチーさをいいバランスであわせ持ったロックのこと。ナックやチープトリックがその代表、と言われる。元をたどればビートルズにまで行き着くという人もいる。ビートルズの「And Your Bird Can Sing」という曲がぼくは大好きだが、その手のテイストを持つ作品が「パワーポップ」と呼ばれてるんだろうとぼくは勝手に理解している。こういう用語の理解はだいたいがわかっていればいいんだから、勝手でいいんだ。で、多分それで当たってると思うよ。



*ジョージ・マーティン

 「5人目のビートル」とも呼ばれる超有名プロデューサー。「こっちのテイクは前半がいいし、あっちのテイクは後半がいいな。テンポも音程も違うけどくっつけてよ」「床からオガクズの臭いがするような音にしてくんない?」といったジョン・レノンの無茶な要求に応えた人として、森はいつまでも記憶・尊敬し続けるだろう。オルガン等、演奏面でもビートルズを支えた。ジョージ・マーティンのオルガンはビートルズ、「In My Life」の間奏で聴ける。
 ビートルズ以外の作品としては、ジェフ・ベックの『ブロウ・バイ・ブロウ』や、このチープトリックの『オール・シュック・アップ』などをプロデュースしている。



*4分割のマナー

 ビートルズのジャケを見るとわかるとおり、いつもだいたいジャケットにおける4人の割合が等しい。ビートルズ以前には、「××と○○バンド」といった形式で、歌い手なり、ギタリストなり、一人だけをフューチャーして、ジャケットも一人+残り、とすることが多かった。ここらへんの詳しい話については、北山修著『ビートルズ』(講談社現代新書)を参照。



*キモ・ギタリストとハゲ・ドラマーは裏ジャケでね。トムとロビンが表ジャケ。

 チープトリックには、イケメンの二人、ロビンとトムが表を担当し、デブとキモ男、バーニーとリックは裏面を担当するという流儀がある。たとえば『蒼ざめたハイウェイ』という作品では、トムとロビンは表でバイクに乗っているが、ひっくり返して裏を見ると、リックとバーニーがチャリンコにまたがっている、といった感じ。
 裏ジャケットが表ジャケットのオチになっている形式のレコードジャケットは結構多い。最も有名なのが、ローリング・ストーンズの『レット・イット・ブリード』だろう。表のケーキが裏でグチャグチャに。ストーンズのメンバーを模した人形もケーキの上からおっこっちゃうってやつ。



*スマッシング・パンプキンズ



 (写真左から)ジェイムス・イハ(ギター)、ダーシー(ベース)、ビリー・コーガン(ギター/ボーカル)、ジミー・チェンバレン(ドラム)の4人組。アメリカ、オルタナティブロックのバンド(90年代ってことね)。『サイアミーズ・ドリーム』、『メランコリー、そして終りのない悲しみ』などが代表作で、叙情的なメロディと、ギターバリバリの激しいサウンドが同居するような曲なんかをやってたように記憶してる。ビリーはチープトリックの大ファンを公言していて、チープトリックの前座をスマパンがやったこともある。
 ドラムが薬中になってバンドを首になったり、ドラッグやめて戻ってきたり、ベースの女がやめて、また別のベースの女が入ったりするうちに、突如解散。ビリー・コーガンはズワンなるバンドを結成するが、それも解散。現在、ビリーはスマッシング・パンプキンズ再結成を呼びかけている。
 ちなみにイハ(一番左の日系人)のヘアスタイルは、染め忘れではなく、生まれた時からこういう風になってるんだって。もちろん大ウソ。森はこれを「イハ刈り」と呼んでる。街で同じヘアスタイルの人を見ると興奮する。別にスマパン好きじゃないけど。



*アクセル・ローズ

 ガンズ&ローゼズのボーカル。ねちっこい歌声と半ズボンのインパクトはピカイチ。ガンズは80年代後半〜90年代前半にかけて活動していたバンドで、オルタナって呼称ができる前に売れてたバンドだ。これもうまくカテゴライズしにくい。みんなが一番知ってそうなところで言うと、映画『ターミネーター2』でガンズの「You Could Be Mine」という曲が使われてるぞ。
 90年後半にはメンバーがほとんど抜けて、事実上活動停止していたが、最近ちょこちょこ「ガンズ&ローゼズ」名義で活動しては、メンバーが脱退し、暗礁に乗り上げ、「新作が出る」といっては、「延期になった」といい、新メンバーが加入してはやめていく…の繰り返しで、確かいまだに「出る」と言ってるが新作、出てなかった気がする。
 「ガンズの新作出るらしい」という話はぼくが高校二年生のときには既に「冗談」になっていて、「ガンズの新作出るのかな」はロック小僧間で「今日は太陽が出てくれるかな」的挨拶になっている始末。
 ともかく。大事なことはアクセル・ローズは今はかなり太ってるってことだ。そして、太ってもバンダナをしたり、半ズボンを履いたりするってことだ。
  どうでもいい情報をガンガン出していくと、TOKIOの長瀬智也はガンズが大好きだと、以前「CDでーた」のインタビューで語っているのを読んだことがある。「ガンズの「ゲット・イン・ザ・リング」みたいな暴力的な歌も歌ってみたい」とか言ってた。その記事を読んで以来、TOKIOの新譜が出るたび、チェックしていた。もちろん、今はチェックしていない。いや、無理でしょ、やっぱ。



*バケットヘッド

 ケンタッキーのバケツを頭に被った覆面ギタリスト。ギターは達者だと思う。ガンズ・アンド・ローゼズに入り、ロック・イン・リオ・フェスティバルでは演奏もしていたようだが、どうやら既に脱退しているらしい。ここらへんの加入脱退状況を逐次追うほど、ガンズにもバケットヘッドにも興味はないし、そんなヒマもない。
 ウワサされているガンズの新作は『チャイニーズ・デモクラシー』というタイトルだそうだが、是非ともバケットヘッドに参加してもらいたかったなあ。ケンタッキーでチャイニーズデモクラシーってちょっとだけだけど、おもしろいし。






*スティーブン・タイラー

 エアロスミスのボーカル。とにかく口がでかいことで有名。娘のリブ・タイラーはハリウッド女優。



*12弦ベースとか5つギター

 通常ベースの弦は4本だけど、12弦ベースっていうのは、一本をそれぞれ三倍にして、全部で12本になってる。オクターブ違いの音が張ってあるのかな? ネック(ベースの細長い部分。首のとこね)が2本あって、外見からして普通のベースと違う感じ。5つギターについては写真参照。

*音楽的な評価低い

 たとえばhttp://www.ne.jp/asahi/groovy/pandaboy/back/cheap/cheaptalk.htmを参照。だいたいこんな感じで言われてたりする。ただ、熱狂的なファンも多い。



*ヘンなギターもたくさん持ってるし

 リックはギターのコレクターとしても有名で、トリプルギター(5つじゃなくて3つで1つのギター)だとか、自分をかたどったギター(リックに似た腹話術の人形がそのままギターって感じのギター)等、1000本以上保有している。また、ピックを紙ふぶきか?って感じでまきまくったりする。「リックのピック持ってる!」って人が多いのはそのためだ。



*オカズをリックとユニゾン

 オカズ(フィル・インっていうのは要は「合いの手」だと思って。ユニゾンっていうのは同じ高さの同じドレミを演奏すること。



*最初、サポートミュージシャンいるのかと思った

 でも、後からよく考えなおしてみたら、音足ししてるかもしれないよなと気付いた。当時のライブ盤、今のライブ盤もそうだけど、後から音足したりってのはフツウにみんなやることだからね。ロビンが歌いながらに弾いてるにしては上手すぎるし。
 調べてみたらやっぱりどうもそうらしい。音も足されているし、映像観るとロビンは弾いてないのに二本ギターが聞こえたりするんだそうだ(こちらの武道館の書き込み参照)。というわけで、基本やっぱり達者なんだろうけど、リックやプロデューサーの指示で後からいろいろオーバーダブしたと考えるべきなんだろう。
 後で白木が「絶対リックがトーンコントロールしてる」云々と発言してるけど、二人とも勝手に興奮して冷静さを失ってました(笑)。白木にメールで問い合わせていたところ「あ、そっか。ライブ盤だもんな。考えてなかった」とのこと。マヌケな二人。でも、白木に言わせれば「なおさらリックのアレンジ能力に対する評価が高くなるだけだ」とのこと。
 ぼくはライブ盤には別に音足してくれて構わないっていうか、とにかくCD聴いて、よいようになればその方がいいって考えです。CDやレコードは何度も聴くからね。ヘタクソなまんま出す意味があんまりないと思うんだ。


*ライトハンド奏法で始まってソロで渋いボトルネック

 ライトハンド奏法とは、左手で弦押さえたりしてるでしょ? その押さえてる部分をフレットって言うんだけど、そのフレットの上を右手でポンポン叩いて音を出す奏法のことなんだ。多分。ライトハンド奏法で有名なのはヴァン・ヘイレンだね。ヴァン・ヘイレンってギターキッズとかが大好きなバンドなわけよ。
 一方、ボトルネック奏法っていうのは、指にビンの細い部分(もしくは要するにそういう形のもの)をはめるのね。で、それでフレットを押さえて弾くのね。ポローンと弾いてからビンをつけた指をスライドさせるでしょ。ビヨーン↑ってなるのね。そういう奏法。ブルースやカントリー、泥臭いロックでよく使われる。
 だから、ここで白木は、ヴァン・ヘイレン的な「ギター小僧」テクニックっぽいものを使ったソロで、泥臭い奏法であるボトルネックを混ぜるっていう発想の柔らかさに感動してるんだね。



*アルビン・リー

 テン・イヤーズ・アフターっていう大昔(60年代)のバンドのギタリストで、「驚異の速弾き」と言われていたんだが、今見るとどこが速いのかさっぱりわからないくらい速くないギタリスト。「アルビン・リーの方が速い」という発言にはおそらく皮肉がこもってる。



*フリッパーズギター 

 ウキウキ通りを行ったりきたりの小沢健二と、いつまでたってもぼっちゃん刈りの小山田圭吾が昔組んでたユニット。90年代、「渋谷系」と呼ばれてたバンドの一つ。渋谷系=若い子オシャレ。この公式はテストに出るぞ。
 要するに、ここで白木が言いたいのは「若い子オシャレで通用する」ということだ。ちなみに「渋谷系」って今は死語になっててあんまり聞かない。



*吉井和哉 

 ザ・イエローモンキーっていう日本のロックバンドのボーカル。イエローモンキーは既に解散してる。吉井がチープトリックに影響受けたというのも結構聞く話。「イエローモンキーが好きとか言ってバンドやるなら、遡ってそれくらいは聞けよ」という森のお説教でした。



*YUKI

 JUDY AND MARYってバンドのボーカルだった。解散して現在ソロ。